木々の声を聴く 2016年11月

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日に日に冷え込んで来た北海道、岡田さんの秋のブログです。

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朝晩の空気がぐっと冷たくなって、降りてくる霜が次第に強くなってきました。

雲の中からは白いものもチラチラと。

日も随分と短くなってきて、季節の移ろいを感じます。

ここは北緯42度に位置しているので、冬至の頃には以前に住んでいた甲子園と比較すると50分ほど日の入りの時間が早い。

逆に夏は日の出時間が50分ほど早くなって、昼の時間が長くなります。

工房周りの木々の葉も季節に合わせて色を赤や黄に変え、風に少しずつもぎ取られながら密度を減らしていっています。

 

一日の作業を終えると夜道を歩き、家へと戻ります。

林の中では「ホー、ホー」とフクロウが鳴いている。

少し寂しげなトーンを含んでいますが、優しい声。

姿はめったに現してくれませんが声はちょくちょく聴かせてくれます。

夜空を見上げると、きらめく星の数が春や夏よりも多くなっている。

空気が乾燥してクリアになってきた事を実感します。

春や夏は黄砂や花粉の影響、または湿度が高い為に霞がかかった状態が多いので天体は見にくくなる。

空気の条件的には冬が一番良いのかもしれませんが、その頃のこの辺りは雪雲が空を占領してしまうので、今が星の見頃の季節。

ここ北海道でもまだまだ空気が排気ガスなどで汚れているのか、街灯が明るすぎるのか、満天の星空と呼ぶには遠いですが、天の川が確認できる程度には見えます。

しばらく寝っ転がっていれば流れ星もちょくちょく見る事ができます。

 

四季のある地域に住む私たちは本当に恵まれていると思います。

おかげでそれぞれの季節で旬の美味しいモノを食べる事が出来るし、景色の変化を実感し、楽しむことが出来る。

季節を生むのは太陽のエネルギーと23.4度ほど傾いている地球の地軸。

地軸の傾きの理由は、地球が出来て間もない45億年ほど前に地球の半分ほどの天体(火星と同じ位)が斜め方向からぶつかった衝撃で軸がずれたというジャイアント・インパクト説が最も有力です。

地球が特別な訳ではなく、他の惑星でも天体の衝突はあったので、地軸の傾きはそれぞれ違います。

火星は25度、木星は3度ちょい、土星は26.7度。 天王星は97.9度でほとんど横倒しで回っていますし、金星は177度ほどなのでグルッとひっくり返った状態で、他の惑星とは逆方向で回っています。

水星はほぼ0度なので季節なし。

クレーターは沢山観測できるので、天体衝突はあったはずですが結果的にたまたま0度になったのでしょうか。

 

地球を傾ける程の衝撃を与えた天体はその衝突によってバラバラに。

一部は引力によって地球に落ち、また一部は土星の輪のような状態で宇宙空間に残り、やがて破片はそれぞれの引力によって衝突、合体を繰り返した。

そして、結果的に形成されたものが「月」です。

お月さんは季節を作ってくれたものの子供のような存在です。

 

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次第に冷えていく空気の粒子が枝や葉を揺らしカサカサと乾いた音を立てている中、夜空を眺めます。

目の前に見えている星々のほとんどは数千光年以内のご近所さんです。

同じ銀河内でもほとんどの星は遠くて肉眼では見る事が出来ない。

私たちのいる天の川銀河は直径10万光年、厚み1000光年の平べったい大きな渦巻き。

内部には2000億〜4000億個の恒星が詰まっている。

その向こうには天の川銀河より大きい銀河、小さい銀河が観測可能な範囲の中だけで、少なくとも1000億個あります。

(つい先日、NASAが新たな観測結果として、およそ2兆個あるのではないかと発表した)

肉眼では見えないけれど、遥か遥か彼方の星の光は確かに地球まで届いている。

その向こうは無限か有限か、さらなる集合体の存在があるのか、今の所、全くの謎。

近くを見れば、38万km離れた所にはいつものように月がいて、1億5000万km離れた太陽が8分前に放った光を反射している。

そして、目の前には数十メートル先でまだ鳴いているフクロウの声と頬を撫でながら流れる風があります。

ただの帰り道の風景ですが、自然はその中に広大な時間と空間の融合の瞬間を見せつけてくれます。

様々な違う次元の要素が混ざり合い、今を作ります。

その調和のさまはなかなかに美しく、見事です。


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日々、家具を製作するにあたって、長期間の使用に耐えるモノを作りたいという思いが強くあります。

それには様々な要素を上手く融合させる必要性を感じます。

やれる事の一つとして、木材には長い年月が実際に物質として蓄積されているので、それをいかに上手く引き出すかが重要になります。

同じ材でも切り出す箇所次第でベッピンさんにも無表情で他愛のないものにもなります。

そして、現在使う道具としていかに有意義なものに出来るかを考え、デザインします。

デザインの中には現在と共に未来を含めなければなりません。

木は森林の中で育ったのと同期間、素材として使えると言われます。

150年間森にいた木は150年間道具として使えるという事です。 その素材に対し作り手として、少なくとも150年間耐えうる機能と強度、150年間使いたいと思ってもらえるカタチへとする責任があるので、そう出来るように持っている知識と技術を全てぶつけます。

 

素材のポテンシャル、過去から繋ってきた技術、作る現在と役目を終えるまでの未来という時間。

これらを上手く融合する事が出来れば、生まれてくるものはどの点から見ても良質なモノになるはずです。

ただ、こうして自分が作りたい物の理想を口にするのは非常に簡単ですが、具現化しようとするとなると、なかなかどうして強烈ないばらの道です。

100年、200年、300年先という未来は未知の真っ暗闇。

しかし、そこに対する責任はとても重い。

ここを軽く考えれば、自分の存在は消費ばかりする傲慢でくだらないエゴイストへと成り下がってしまう。

それでは生きている意味がない。

行きたい方向が分かっているのであれば、トゲだらけになることを覚悟でいばらの道に向かうだけです。

キレイな体でいたいがために自分を守っていては、生きる価値が生まれる事など決してない。

結果が傷だらけでクタクタになった上にほとんど進めなかったという事になるかもしれませんが、それはそれで案外清々しく感じるのではないかと思います。

 

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違う素材を組み合わせる事で、調和の世界の可能性をさらに広げる事が出来ると思います。

製作の準備段階で木とレザーや金属を並べているだけでも調和の息吹を感じます。

まだほとんど手をつけていないのに素材同士が勝手に馴染んでいく、そんな感じです。

組み合わせる事でそれぞれの素材だけでは作れない機能性も得る事が出来ます。

違う素材を使うという事は、今までとは違う新たな知識と技術が必要になるので、また新たな責任が生まれる。

でも、可能性があるのであれば挑戦したくなるのが人情の常というもの。

様々な素材と作った人の思いが美しく融合されたものは見ているだけでゾクゾクします。

 

レザーと金属とWILD SWANS

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鉄と真鍮とレザーと鯱丸さん(造形作家)Designer of C.O.U.Ginza C.O.U.Kyoto

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門 kado (東京芸術大学大学美術館蔵)   

 

 

 

木と銅と真鍮と鯱丸さん

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含蓄丸 ganchikumaru

(サントリー美術館蔵)

 

色々な人が頭を捻って発想し、悩んで、可能性を探りながら素材と向き合い、その上で作り上げられたモノはとても魅力的です。

そこから融合のエネルギーが放たれているからだと思います。

それは生き様です。

考え、挑戦し、悩み、また挑戦する。

諦めない精神が深みと豊かさを次第に増大させ、結果、強さと優しさの融合されたエネルギーを持つことが出来るようになるのだと思います。

自然が見せてくれる息を吞むような美しい瞬間や色々な作り手の透き通った精神のエネルギーを受けながら、僕自身、色々な事に挑戦していきたいと思っています。

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pat woodworking 岡田通人 profile

 

兵庫県西宮市で建築業に携わった後、pat woodworkingとして家具制作業にシフト。

大自然の広がる北海道黒松内町に工房を構え、たった一人で作業に取り組んでおられます。

 

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